福井の方言

福井の方言は、同じ県内でも嶺北地方と嶺南地方で大きく異なっています。嶺北地方の方言は北陸方言に属し、嶺南地方の方言は近畿方言に属しています。また、嶺北内においても、福井市とその周辺とそのほかの地域とではアクセントなどが異なることもあるようです。

福井弁(嶺北地方)

福井弁は福井県嶺北で話されている方言で、北陸方言の一種でもあります。

発音

福井弁には北陸方言特有の間投イントネーションがあり、文節の終わりがうねるようなイントネーションになります。単音節の単語を発音する時は、「目え」「手え」のように長く伸ばすのが特徴です。これは北陸や関西およびその周辺で見られる特徴です。また、「が」が「んが」のように鼻濁音になることが多いです。老年層の福井弁では、古い日本語の発音であるシェ・ジェが現在も残っています。「先生」を「しぇんしぇえ」、「千円札」を「しぇんえんさつ」、「全部」を「じぇんぶ」、「全然」を「じぇんじぇん」などと発音します。ただし、「臭い」「遅い」などの「~さい・~ざい」「~そい・~ぞい」が付く言葉は「くせ」「おせ」などに変化するため、シェ・ジェとは発音されません。奥越では、1円を「いっちぇん」、50円を「ごっじぇん」、100円を「ひゃっけん」と発音することもあります。

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アクセント

福井市・旧武生市などの嶺北地方中心部は、アクセントで語の区別を行わない無アクセント地帯です。無アクセントは、「橋・箸・端」などの同音異義語をすべて同じ高低で発音するもので、北陸地方のなかでは珍しいアクセントです。無アクセント地帯を取り囲むようにして、旧三国町などには「三国式アクセント」と呼ばれるアクセントがあります。三国式アクセントは、音の下がり目の有無だけを区別するアクセントであり、拍数に関わらずアクセントの型が2種類あるニ型アクセントです。ただし三国式アクセントは型の区別が曖昧で、発音が安定せず揺れがあるため、福井市・三国町ともに被調査員全員が無アクセントと判定されたこともあります。また、大野市・勝山市には明瞭な垂井式アクセントが分布し、大野市東部の旧和泉村地区は東京式アクセントです。

文法

文法はおおむね西日本方言の特徴を有しています。「さいた(刺した)」や「だいた(出した)」のようなサ行イ音便、「こおた(買った)」や「しろおなる(白くなる)」のようなウ音便は福井弁でも使われています。準体助詞は「の」または「ん」であり、金沢弁や富山弁で使われる「が」「げん」などは使われません。また、西日本では珍しく「おる」ではなく「いる」を多用し、「いない」という意味では「いん」の変形「えん」を使います。

使用例

  • 「のー、この靴下あ、おぞなってもたんやけどー」(ねえ、この靴下、穴が開いちゃったんだけど)
  • 「あらあ、はよからおもっしぇとこに穴空いてもてえ。どもならんで、もうなげてまいねのう。もつけねぇ」(あら、こんなに早くから変な所に穴が開いちゃって。どうにもならないから、もう捨てちゃったら?)
  • 「おじいちゃん、遅いんやって!はよしねま!」(おじいちゃん、遅いよ!早くして!)
  • 「ほんなこというなま。今行くで、もうちょっこし待てや」(そんな事言うなよ。今行くからもう少しまってくれ)
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嶺南方言

嶺南方言は、福井県嶺南地方(旧若狭国および敦賀市)で話される方言です。若狭地方で話される方言は若狭弁とも呼ばれています。同じ県内の福井弁が北陸方言に分類されるのに対し、嶺南方言は近畿方言に分類され、近江弁や京言葉、舞鶴弁に近いといわれています。これは、嶺北地方との間には交通の難所である木ノ芽峠があり、交流が妨げられていたのに対し、丹後国・近江国・京都との間には比較的難所が少なく、西近江路や鯖街道などを介して、近江・京都方面の日本海の玄関口として栄えたためです。なお、敦賀市は旧若狭国ではなく旧越前国ですが、木ノ芽峠の南側に位置し、江戸時代には小浜藩やその支藩である敦賀藩が統治していたこともあり、方言に限らず文化的・経済的に若狭地方との結びつきが強くなっています。方言学者の佐藤茂が、嶺南方言を東部方言(敦賀市・美浜町・若狭町)と西部方言(小浜市・おおい町・高浜町)に大きく分け、両者に大きな差異はないものの、西部方言のほうが京阪的要素が多く、東部方言は嶺北方言的な要素がしばしば見られると指摘しています。

特徴

文法や語彙は近畿方言と共通するものが多いのですが、近畿方言と北陸方言の混在も見ることができ、特に語彙などは北陸方言の影響が少なくありません。嶺北方言では存在動詞に「いる」、アスペクト形式に「~てる」を用いるのに対して、嶺南方言では「おる」、「~とる」を用います。アクセントに関しては無アクセントが広く分布する嶺北地方とは大きく異なり、京阪式アクセントが広く分布しています。ただし、高浜町に垂井式アクセントが分布し、敦賀近郊では式の区別曖昧になっています。また、平山輝男は、遠敷・三方、敦賀、東浦、高浜の4種類の音調があると指摘しています。文節末が揺れる北陸特有の間投イントネーション(ゆすり音調)は、嶺北方言と同じく嶺南方言でも用いられます。

高浜弁

高浜弁は高浜町で用いられる若狭弁の一種です。高浜町は福井県最西南端にあって京都府に隣接するため、古くから京都の影響を受け、京言葉から高浜の言葉が生まれたとされています。江戸時代には武士・商人・農民・漁民・やくざなど、階層によってそれぞれ異なる言葉がありました。明治時代になると役人が武士と商人の中間言葉を用い、伝統を守る商家はあくまで商人言葉を用いました。ただ農民と漁民だけが大正・昭和の初期まで地方独自の言葉を用いました。山間部と海岸部では多少の相違があります。交通が盛んになりラジオやテレビの影響もあって、また最近は特に観光地となっていることから、昔からの高浜弁はだんだんと使われなくなってきています。

特徴

独特のイントネーションや語尾を持つのが特徴です。イントネーションで有名なのは「トンネル」の発音です。とんねるずを発音する要領で「トンネル」と発音します。このような4文字の名前の呼び方が高浜独特とされ、最初の文字を特別強く発音する傾向があります。語尾でよく使われるのは「~ど」「~うぇ~や」「~にゃ~」「~がな」「~わいな」「~けえど」などがあり、これらはその場その場の感情に応じて自然に使い分けられています。また、敬語の「なある」なども語尾に頻繁に使われ、JR若狭高浜駅にある「高浜市場きなーれ」という名称もこの方言が由来となっています。「きんのう」「まんだ」「たんまに」「ふっきん」「へっこむ」など言葉の間に「ん」や「っ」がつくことも特徴の一つです。高浜弁の中でももっとも顕著な言葉に「なんど」があります。これは人に呼ばれて返答するときに用いる「なんど(なんだい)」ですが、他の方言にも見られるように、そのイントネーションや繰り返す回数によって、喜怒哀楽などの感情表現ができます。

使用例

  • 「きんのう、わえのチャリがへーかまされてしもうたうぇ~や」(昨日、僕の自転車が盗まれてしまったんだよ~)
  • 「ちょ~みんな~わえの話きいてけーやー」(ちょっとみなさん僕の話を聞いてください)
  • 「なんどおめーなめとんこ」(なんだお前、からかっているのか)

方言の現状

若者の間では、方言よりも共通語を使う傾向が強まっています。加藤和夫やの調査によると「のくてえ(=あほ)」や「だんね(=大丈夫)」や「むだかる(=絡まる)」など関西弁や共通語で言い換えができる言葉は、世代が低くなるにつれてしようが減っており、北陸3県のなかで福井県が最も共通語化が進んでいるといいます。一方、しつけで多用される「おちょきん」や、共通語で言い換えられない「かぜねつ」などは根強く使われています。加藤は、福井独特の平板なアクセントは他県の出身者から「訛っている」と指摘されやすく、そのことが方言コンプレックスにつながり、共通語志向の一因になっていると分析しています。

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